稚櫻神社 わかさくら
奈良県桜井市池之内 ゼンリン

鳥居


交通案内
近鉄大阪線大福駅南 1、500m

祭神
出雲色男命 配 履仲天皇、神功皇后(旧末社高麗神社祭神)


由緒 稚桜神社縁起(平成祭礼データ)
  稚桜(わかざくら)名の由来は履中紀三年十一月、天皇は皇妃とともに磐余市磯池(いわれのいちしいけ)に両枝船を浮かべて船遊びを楽しんだ。 膳臣余磯が天皇に酒を献じたとき、桜の花が舞い落ちてきた。「咲くべき時季でないのに咲いた。いったいどこの花だろうか。」 不思議に思った天皇は、物部長真胆連(もののべのながまいのむらじ)に命じて探させた。長真胆連は探し回って、やっとのこと掖上(池上?)の室で見つけ出し献上した。 天皇大いに喜び即座に宮の名を磐余稚桜宮と名付け、長真胆連の姓を稚桜部造と、余磯を稚桜部臣と改めた。

風景


祭神 出雲色男命について

  この物部長真胆連は『姓氏録』(右京神別上)に若櫻部造を饒速日命三世の孫出雲色男命の後、四世の孫。とあります。
 また『姓氏録』(和泉国神別)には、若櫻部造を饒速日命七世孫止智尼大連の後。としています。 この辺りの系図を書いてみます。


『旧事本紀』饒速日尊ー宇摩志麻治命ー出石心大臣命ー大矢口宿禰命ー大綜杵命ー伊香色謎命ー十市根命ー物部膽咋ー・・ー


『姓氏録』 饒速日尊ー宇摩志麻治命ー出雲醜大臣命ー 大木食命 ー ○  ー  ○  ー物部長真胆連ー・・ー


 この二つの系図から見ると、物部長真胆連とは物部十市根命とは同世代、また双方若櫻造の祖とある所から同一人のことであると見ていいでしょう。

 稚櫻神社の祭神に出雲色男命が神として祀られています。社頭由緒にはこの神を出雲醜大臣命と説明しています。 確かに、「醜」は出雲語、「建」は日本建命の大和語とか熊曽建の熊襲語といえるかもしれません。葦原色許男、鬱シコ、伊香シコと出雲や物部にシコが多いのです。 それから考えると、出雲醜大臣命と出雲色男命とを同じい見る見方は説得力があります。
 しかし『先代旧事本紀』ですら、出雲醜大臣命は第四代懿徳天皇に仕えた程度のことしか記されていません。物部十市根命の祖先なら伊香色謎命など傑出した扱いの人物(神?)がいます。 どう考えても、出雲醜大臣命を出雲色男命としてここで祀る理由はありません。

 出雲色男命のしこ名で祀られているのはストレートに物部十市根命と考えることができます。 物部十市根命は出雲に出向いて神宝を奪いとっています。出雲の神宝(おそらくは神剣)と物部十市根命とは同一視された英雄だったと見ていいでしょう。 また、物部十千根は石上神宮の祭祀権をも取り戻しています。石上神宮の出雲建男神社もまたその功労で物部十市根命を出雲建男神として祀ったといえるでしょう。

お姿

 1998年の台風で木々がほとんど倒れたので、遠くからでも本殿などがよく見える。 境内にはいろいろな神々の名前を彫った石柱がたっている。元々の摂社なのか、それとも氏子さんが遠くにお詣りした記念なのか、不明なのだが、何となく磐座信仰の名残のようにも見える。

本殿


お祭り

10月 第3土曜日 例祭 宵宮祭
10月 第4日曜日 例祭 秋祭

参考 大和・紀伊 神社寺院大事典(平凡社)

大和の神々
神奈備にようこそ
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