白山比神社奥宮
石川県石川郡白峰村白峰

室堂の奥宮遙拝所の鳥居をくぐっていざ登頂

交通案内
別当出会から登頂5時間


祭神
白山比



由緒
 白山山頂の御前峰に鎮座、式内社の白山比神社(白山本宮)は加賀国石川郡である。 室堂から40分程度で行ける山頂は加賀国能美郡で、加賀、越前、美濃の国境に当たる。
 御前峰の北西に大汝峰(大汝神社「大己貴神」)、南に別山(別山神社「大山祇神」) があり、この三峰にはそれぞれ祠があり、この三山を回らないと白山に登ったとこにはならないと言う。 立山の雄山神社もよく似た地名があり、修験山岳信仰特有の命名であろうか。

 養老元年(717年)、越前の修行者泰澄は、35歳の時、白馬に乗った美女が現われ「私の真は白山頂上。」と告げたと言う。 泰澄は白山頂上のいわやで二十一日の行を重ねたところ、翠が池に白山比メ神の垂迹である十一面観世音菩薩の出現を見たいう。 当時の元正天皇が、山麓に白山の社殿を建築させて祀り、以後、修験道の白山信仰が全国に広まった。
 白山信仰が広がったのは泰澄が役小角以来の修験者として名をはせたことがあろう。

白山神の神祇形態(『古代の日本海文化』藤田富士夫著から)
鎮座地 現身(俗体) 垂迹神 垂迹佛 本地仏(真体)
御前峰 貴女 伊弉册尊 妙理大菩薩 十一面観世音菩薩
別山 弓矢を持つ宰官   小白山別山大行事 聖観世音菩薩
大汝峰 老翁 大汝貴神   阿弥陀如来(西刹の主)

 越地方には女首長が多く、日本海沿岸の霊山にの女神信仰と重なりを持つと言う。 泰澄の父親は船頭であったと言われ、泰澄は海民性を持った行者で、弟子も海域からやってきたと書かれている。 白山は日本海からよく見える霊山で、よき目印でもあった。日本海沿岸への信仰の広がりの背景にあるようだ。 海運の守護神としての船玉にも見なされ、これが「一切の水難に漂いおぼるること能わざらしむ」十一面観音につながるのである。

 一方、大和国山辺や都祁に多く鎮座する九頭(葛)神社に併設されている白山神社が目立つ。白山から流れ出る九頭龍川との関連が注目される所であるが、 崩れ川から九頭龍川への転との話もあり、現に白山の至る所に崩れが見られるのは、この転は妥当かも知れない。 大和への白山信仰の持ち込みは仏教寺院の守護神としてと思われる。

 また神社成立の歴史として、先ず、神が山頂に坐すことがわかり、後に里宮として、白山比神社(白山本宮)が設けられたと言える。

山頂の祠


お姿
 室堂の遙拝所には夏には神職と巫女が駐在しているとのこと。
 登山客は室堂からは参道を歩くことになる。従ってよく整備されており、比較的歩きやすい。 頂上は風が強く、風よけの石塀に囲まれた立派な祠が鎮座している。
 翠が池はガスでお姿を表していただけなかったのは心残り。

 別当出会で標高1200m以上はあるようだが、この付近の山道には、川で丸みを持たされた石英石などを取り込んだ火山灰でできた石が散見される。 火山灰が河川に流れこみ、石を包み込んでいった後、隆起したのであろう。複雑な地形である。砂防工事が多くなされているが、どうも深い切り傷に絆創膏を貼り付けているようで、効果のほどが心配される。

山頂付近案内



お祭り
 7月17日 奥宮大祭夏祭り

遙拝所全景と背後に白山

『平成祭データ』白山比神社
御由緒
当社は、遠く神代(かみよ)の昔、霊峰「白山(はくさん)」を神体山として、生きとし生けるものの、「いのち」の祖神(おやがみ)と仰ぎまつる“白山比me大神(しらやまひめのおおかみ)”を奉斎したことにはじまり、その創立は遠く崇神(すじん)天皇の御代と伝えられます。
延喜式内の名社でありまして、古来「下白山(しもしらやま)と称せられた本社は、霊峰白山の「まつりのにわ」として設けられた「白山本宮」で、「加賀一の宮」として尊崇され、「白山(しらやま)さん」としてあまねく親しまれている北陸鎮護の大社であります。
養老元年(七一七)僧泰澄(たいちょう)がはじめて白山に登拝してから後は、朝野の信仰益々篤く、修験道場として隆盛を極め「白山衆徒三千を数う」と称せられました。
その後、文明十二年(一四八〇)の大火によって四〇有余の堂塔伽藍が悉く烏有に帰しましたので、末社三ノ宮の鎮座地である現在地に遷られて今日に至りました。
明治維新の後は「下白山」を本社、「白山天嶺(はくさんてんれい)」を奥宮とし、“国幣中社”として国家から特別の重い待遇を受けましたが、終戦後の今日では、全国に奉斎されている三千有余の白山神社の総本宮として“白山信仰”の中心をなしております。
このようにして当社には白山比大神の大御稜威(おおみいつ)を欽仰して、神恩奉賽の誠を捧げ、神楽(かぐら)を奉奏する崇敬者が四季を通じて跡を絶たず、とりわけ正月・五月及び九月は「おまいり月」と称して参拝者が多く、御社頭が賑わいます。
日ごと月ごと「白山さん」の神前に奏でまつるみやびやかな神楽(かぐら)の音が、神さびた神苑の老杉古欅にこだまして、御霊験愈々いやちこなるものを拝します。



参考:『日本の神々8』白水社、『古代の日本海文化』中公新書

公式白山奥宮
神奈備神社一覧中部北陸

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