大杉神社
三重県多気郡大台町大杉 ゼンリン


三の鳥居と神域


交通

JR紀勢線三瀬谷駅から宮川町村営バスで大杉終点まで そこから登拝15分



祭神

久々能智神、五十猛命、大屋津姫命(『宮川村史』)



由緒

 宮川村江馬に荻原神社が鎮座、荻原神社の創始年代は不明なるも、文政七年(1827年)奉納の幡に「江馬大杉社榎村神社 奉再拝大屋津姫命大杉大明神廣前」とあり、当時は江馬大杉社あるいは榎村神社と呼ばれていた。 度会延経『伊勢国神名帳考証』で、度会郡の延喜式内社榎村神社遺蹤地を江馬御らに求めており、従って当社をして後裔社とできよう。

 幡の「大屋津姫命大杉大明神」とは、大杉神木の大杉明神とおそらくはその祭神の大屋津姫命のことと思われる。

 旧大杉村の大杉明神はその創立の歴史は分からないが、現在の神木の樹齢は1200年とされ、その隣の切り株が旧社とされている所から、その歴史は1200年程度と見てもいいのではなかろうか。 そうすると、大杉明神は山宮に相当し、荻原神社が里宮に当たるとは言えないだろうか。


神木と祠


大杉神社の「社頭説明板」から

 平成6年3月にたてられた「宮川村教育委員会」記載の大杉神社の「社頭説明板」を紹介しよう。

 この御神木は、大杉谷が拓け始めた頃すでに生木していたので、その大杉にちなんで大杉谷の名前がつけられ、木の元の神であります久久能智神(『古事記』による)をお祀りしていると伝えられています。

 またこの地方では、伊勢神宮の御杣山として、往古神宮の御遷宮に何度か御用材が切り出されました。大きい木ばかりで樹雲のようであったと伝えられています。

 古くからこの大杉を大杉明神と申します。大杉明神も大杉神社も同じで、縁起によると天狗のような変わった形の神様が、この大杉に降臨され、悪い病気を追い払らったり、水難から救い助け、また不漁の時、お祭りをすると大漁になると言うことから、地元の他、紀州の漁師など海上の安全と大漁を祈願するためにお参りされました。

 修験者(山伏など)は、この神木にお祈りすると白蛇がのりうつると言われ、神木・霊木として信仰されています。

 古文書によると、大杉谷の大神木といって、多の県までも有名で、お参りする人々が絶えなかったそうです。この神木の左の方に杉の株がありますが、この株は「大杉神社の旧社」といって、今も祀られています。

 平成6年3月  宮川村教育委員会


 上記の説明板から祭神の五十猛神の神徳とされる、浮き宝の神が思い起こされる。浮き宝とは船のこと。 また紀州の漁師が山々を越えてお参りに来たと伝わるのも、五十猛神が紀の国の国魂ともされる神だからとも思える。
 白蛇がのりうつるのはおそらく大屋津姫神の意味で、大+ヤツ(夜刀)+姫神と蛇形の神と思われていたのではなかろうか。


大杉 直径3m 高さ40m


 

まったくの余談
所で、江馬(エマ)と大杉、これから連想してしまうのが、享保年間の江戸での流行神の大杉明神である。 茨城県稲敷郡桜川村に鎮座する名社で、これが東京都葛飾区の香取神社に突如として飛来、爆発的に信仰を集めたとか。 『民族神道論』宮田登著によると、『月見堂見聞集』には、「安葉大杉大明神、悪魔払いふてよいさ、世がよいさよいさ」との踊り歌が歌われたとか。 この安葉は常陸国安馬大杉大明神と称されていた安馬で、別に阿波とも記されている。通称あんばさまとされる神社で苔野神社(福島県双葉郡浪江町)には、闇淤加美神、五十猛神、大屋津姫命、抓津姫命が祀られており、 ヤマトタケル尊が東征途中、ここに五十猛命を祀ったと伝わっている。

 流行神の大杉明神は、大杉神社と言い、倭大物主櫛甕玉大神 (配祀)大己貴大神 少彦名大神を祭神とし、アンバについては、 当地を「常陸風土記」により、安婆じまの地と称したと 説明されている。



大杉神社のお姿 

  宮川の上流に貯水池(ダム)があり、村営バスの終点が大杉。大杉谷キャンプ場や大台ヶ原方面への登山センターがある。 バスはJR三瀬谷駅から1時間半程度、村人は200円、村外者は1,000円。 終点で次のバスの時間までは30分、その次は2時間30分後、所が神社往復約30分強、これでは2時間ほど時間をつぶさねばと思っていたが、 バスが途中でファンベルトが焼けてしまい、動きのとれない故障車となるとのトラブルに巻き込まれた。
 しかし通りがかった親切な村の若い人の車に乗り換える事が出来、定刻通り登拝口まで行くととが出来、 また当然の事ながら代替のバスが約30分遅れとなったので、うまく帰りのバスに乗れたというお話。
 更に1時間に一本のJRに程良く間に合い、今回は予定外だった神社に参詣できる幸運を得ました。

 神社巡りをやっていたら、トラブルも幸いになると言うお話でした。

 大杉の左手に磐座群があり、古い祭祀遺跡ではと思われる。 またどこからともなく水が流れており、断層があるのかも知れない。この水が大杉を育んだのであろう。素晴らしい聖地であった。

大杉神社のお祭り

  不明




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