大国主神社
紀の川市貴志川町國主1

交通案内
阪和線    天王寺→和歌山 (60分820円)
貴志川線   和歌山→貴志 南へ貴志川ぞいに徒歩10分 its-mo



神社全景 生徒の写生会  右側は神舞殿(高床式舞台造)



祭神
大国主命
(配祀神)天照皇大神、(合祀神)権大神、(境内社)市杵島比売大神



由緒
 紀伊続風土記によれば、八十神等の危難から逃れ、五十猛命のもとへ赴こうとした大国主命が当地を訪れた事を由緒としている。*1 この説話は古事記では母の神が大国主命を紀の国の大屋毘古の神のもとに逃がしたとある。
 五十猛命と大屋毘古命を同一神とする見方があるが、京都の八坂神社の八御子神の中に五十猛命と大屋毘古命は別の神としてカウントされている。元々別の神であったのがいつの間にか同一神とされたのであろう。
 紀伊と出雲とは後の生け贄を捧げる話、須佐之男命の由来、五十猛命やイザナギ命の終末の地などよく似た説話を共有しており、古来より人の行き来が多かったものと思われる。

 この国主神社であるが、元々は九頭、葛神ではなかったかと見ているのだが、龍神の住む国主淵の伝承がある以外にはそれらしい痕跡は残っていないようだ。




本殿(三間流造)


お姿

 貴志川が神社の東側を北上し、やがて紀ノ川に合流する。近くに貴志川で最も深い国主淵(くにしふち)があり、龍神の住む池として生け贄を捧げる伝承が 古来よりあった。
参道は長い。一般道として車も往来している。陽向山の中腹に西向きに鎮座している。本殿は厳か、陽向山には古杉、檜などが鬱蒼と茂っている。

町指定の当神社関係文化財
権大明神垂迹神像(南北朝時代)
大盛飯祭礼図(明治時代)
大国主神社神舞殿(江戸時代中期)


摂社市杵島比売大神



お祭り
 大飯盛物奉納神事は約10年に一度行われる。飯の高さは4m、幅は2.5mとなる。*2
例祭 4月3日


貴志駅にある史跡案内看板の写し
  史跡       地名   方角  距離
大国主神社と国主淵  国主   南 600m
薬師寺板碑群     国主   南 600m
三昧塚古墳      神戸   北 200m
灌子塚古墳      神戸   北 250m
北古墳群       北    東1850m
地蔵寺庭園      前田   北1900m
北山廃寺跡      北山   北2100m



紀伊国名所図会より

紀伊續風土記 巻之三十五 那賀郡 貴志荘 國主村から


○國主明神社  境内周八町

       天照大神
   祀 神 大國主命   合殿  三 扉 
表行三間 裏行二間半
       少彦名命

村中にあり 古事記に大國主ノ神の兄弟八十神ましヽヽしに八十神達大國主ノ命を妬みて殺し奉らんと種々に困めしを其御母神告教給ひていまし此間にいまさは遂に八十神に滅ぼされんとの給ひて 木ノ國大屋毘古ノ神の御所[モト]にいそかしやり給ふとあり 然れは此地は其時大國主ノ神の來り坐しゝ地にて即其に斎き祀れるならむ 本國に大國主ノ神を祀る所の多きも此によれるなるへくして當社其本宮なるへし 昔は六十六箇國より種々の備物を以て當社の祭事に供[ソナ]へしに因りて其國々の國司より備物の料として此地にて方一里の地を神田と定め 定め大贅の料とせり 今土地の字に越中芝尾張田阿波小路土佐畠美濃田因幡なといふ國號を以て田地の字に呼ひ來れるは其遺稱なりといふ 中昔兵亂の時此等の事皆廃絶し後世兵の災に罹りて神寶舊記古文書の類皆燃亡して神の來由の詳なることは今知りかたし 然れとも大贅の遺風今に残りて荘中歴坐の者私のカを以て其神事を執行ふ 土俗これを大飯といふ

  大飯神事
毎年三月朔日より三日まてを祭目とす 荘中十四箇村の農戸大抵田一町許を作る者の老人等一村に一人つヽ年々三人を此祭の主と定めて前年より一年か間門戸を閉て潔斎をなす
潔斎中耕作をなさす 人に對せす 月代をせす 髭をも剃らす といふ 祭の前五六日の程供物を調進すとて祭の主の家々に五六十人許日々入込て神供を調ふ 其供物は白米十二俵を飯に炊き藪萬の團飯とし串に刺す 其串の敷一萬三千本飯を大桶の上に山の如く積上け眞中に幣を刺し車に載せ薮百人是を引きて神前に備へ又社前の淵にも沈むるなり 是を貴志ノ大飯といふ 其費夥しけれは今は省畧する事ありといへとも猶舊例に従ふといふ古老の傳へに此祭は昔當社前の淵に龍蛇ありて多く人をとり殺しゝかは其蛇を神と祀り年々生贄とて人一人を備へけるを後此大飯に代へて備ふといへり 古傳説なるへし 神代ノ巻八股ノ蛇の故事又今昔物語に飛騨ノ國にて猿を神と祭リて生贄を備へしこと 遠江ノ國櫻池の故事等似たることなり

*1 和歌山県神社誌(和歌山県神社庁)
*2 和歌山県の歴史散歩(山川出版社)

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