万葉集巻第十一 紀の国

物に寄せて思ひを陳[の]ぶ

2730 木海之 名高之浦尓 依浪 音高鳧 不相子故尓
紀の海の名高の浦に寄する波音高きかも逢はぬ子ゆゑに
紀ぃの名高の浜に よいて来る 波みたいに 名高いこやして まだおおてないんやけど
海南市黒江中言神社

2751 味乃住 渚沙乃入江之 荒礒松 我乎待兒等波 但一耳
あぢの住む須佐すさの入江の荒磯松吾を待つ子らはただ一人のみ
あじ鴨がおるほれ 須佐の入り江の荒磯松みたいによ わえを待ってるんは 一人しかおらんのよ
有田市千田須佐神社

2779 海原之 奥津縄乗 打靡 心裳四怒尓 所念鴨
海原の沖つ縄海苔なはのり打ち靡き心もしぬに思ほゆるかも
海の沖の深けぇとこのよ 縄苔が靡いてらいしょ わいの心も へたってら そんなえ思えら

2780 紫之名高乃浦之 靡藻之 情者妹尓 因西鬼乎
紫の名高の浦の靡き藻の心は妹に寄りにしものを
すみれ色の藻あらよ ほれで有名な 名高の海の 藻がなびいてらいしょ ほれみたいに わいも あれに ほれてしもたんよ
海南市中言神社

2781 海底 奥乎深目手 生藻之 最今社 戀者為便無寸
わたの底奥おきを深めて生ふる藻のもはら今こそ恋はすべなき
海の沖の深けぇとこによ 生えてる藻みたいに 今よいしょ 惚れろずんずん惚れろ

2782 左寐蟹齒 孰共毛宿常 奥藻之 名延之君之 言待吾乎
さ寝かねば誰とも寝めど沖つ藻の靡きし妹が言待つ吾あれ
Hやったら 誰とでもやらいしょ そやけど 沖の藻見たいに きこうに気持ちが靡いたんよ 声かけてぇな

2795 木國之 飽等濱之 礒貝之 我者不忘 年者雖歴
紀の国の飽等あくらの浜の忘れ貝吾あれは忘れじ年は経ぬとも
紀ぃの国の 飽等の浜に 忘れ貝あらいしょ わいもたいがい 忘れやんで なんぼたってもな
 

2796 水泳 玉尓接有 礒貝之 獨戀耳 年者經管
水潜くくる玉に交じれる磯貝の片恋のみに年は経につつ
みるの中の きれいな石にまじってらいしょ あんな磯貝のよ かたっぽみたいに 片おもいやいしょ

万葉集巻第十二 紀の国

万葉集 紀の国

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