熊野古道、和歌山県の王子社
祓戸王子

海南市鳥居字北浦257 ゼンリン



 菩堤房王子跡を少し進むと道は西に向かう。日限地蔵を越えてすぐに浄土宗如来寺がある。この寺の境内の斜面に墓所があり、その最上部の右側(西側)の林の中に祓戸神社趾の石碑が立っている。またこの寺の隣地に社祠があったとも地元では言われる。
 この辺りの地名は鳥居と言う。熊野三山の一の鳥居が立っていたとの事である。祓戸王子は鳥居王子や大鳥居王子とも呼ばれていた。今では次の王子社でもある藤白神社に合祀されている。 神社参詣の場合も鳥居を過ぎる祓戸神社が鎮座している場合がある。不浄を祓うのである。

 鳥居とは社寺の入り口にあって神域を示す門である。ルーツとしてはタイ、ビルマ国境付近との説もある。 海南市の鳥居地域には後期縄文遺跡がある。近くには名草戸畔を祀ったとされる神社や死体から食物が出来る神話のあり、黒潮に乗った祖先の住み着いた安住の地であったかも知れない。

 このような紀伊半島全体を神域と見る背景には祖先の到着した地、祖霊の住み隠れた地−神奈備−としての紀伊半島を見つめる気持ちがあったのだろう。これから越えなければならない長峰山系は南紀との境を屏風のように隔てている。いかにも神域との境の雰囲気が今でも残っている。


日限地蔵


祓戸王子碑(寺の山の中腹)と大鳥居王子古蹟碑(古道沿い)
 

松阪王子から藤代王子への地図


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