盛加御嶽・盛加ガーイビ(ムイカ)
沖縄県宮古島市平良東仲宗根 地図

鳥居


交通
北給油所の交差点から北東100m。


祭神
 御嶽 盛加神(島内守護神)
 ガーイビ ミューの神(竜宮の神)、 お産をした時に拝む神、バキミズトヨム神(湧泉口)

由緒
盛加御嶽


 『宮古史伝』で、「盛加神は天の御国かや八十神百神と共に、古意角・姑依玉二神の供奉を承わり、天降りました盛加神は、威高い勇武をふるって、島の内のよからぬ者共を押し鎮め給した。
 島内には神心をうけ継いだ人の世も追々に出て来たが、心さまのよくない鬼ばらも又少なからず出て来た。ある閣の夜のことである。一人の人間が顔色をかえて慌しく盛加神の根所(神の御座所)に入ってきた。盛加神は怪んで、何事が人の世に起ったぞ。語り聞かせよと問い給うと答えて言うには杣事で山で夜ふかししたため、帰りの道で鬼ばらに妨げられ、最早どし(友達)の者は害にあい、吾一人ようよう逃げて参りましたれば、何卒お助け下されと伏し拝んだ。盛加神はこれを聞き、心配には及ばぬと御座所の台の下に入れて匿まい給うた。程なく数多のよからぬ鬼共が乱入してきて、人間が逃げこんだ筈だ、出せ、と儀を失して怒鳴り散らした。彼等は盛加神の根所であることを知らなかったので、神は一振の剣を取出て仰せらるには、汝等は先づこれを折って見よ、折らば人間の存所を示さんと権威を以て臨み給うた。彼等は之を折ろうとするけれども出来ない。其の力を入れる度に剣から霊光が輝き出て、根所の内外にひらめきわたった。彼等は恐れおののいて、此所は必ず神の根所にちがいない、逃げ出せ、と我れがちに逃げようとする。其の時、盛加神は大音声で、邪なる者共天誅を受けよと呼ばわり給うた。其の声で、野も山もふるい動き、彼等はくろがねの七巻綱でゆわえられた。盛加神は、正しきは我がくみする所である。改めて直なる者になれと仰せになって、森の大木にしばりつけ給うた。鬼共は、夜っぴいて呻きもがいて抜け出ようとしたが出来ない。荒毛のすねやひじがすりむけ、背腰尻たぶがただれて、血みどろに木の幹などが染まった。(これから、今のアカウ木という樹は枝聞から赤い液が弛み出るようになったと伝う) 二夜目の夜半頃、鬼共はくろがねの七巻網を断ち切って逃げだした。

 そこで、盛加神は、天の立矛を取り持ち、神衣の裾をからげて、追いうちに追い行き給うた。鬼共は一散にかけり、大きなガマ(岩窟)に逃げこみ、岩の戸を立て、こもった。盛加紳は塞がる岩が根百千にち切りなしてガマの内へ踏み込み給うと幾十の鬼は恐れくぐまって逃げ出るよすがもない。
 盛加神は天の立矛を振り上げて、天誅斯くぞと高らかに呼び給うと、彼らはなべて余さず数珠なににつながれて動けなくなった。やがて引き立てて本根所(神の総本元)の古意角・姑依玉二神の美御前(お目通り)へ詣でた。古竜角は事の由をお聞きになり、そして、天の国へ追いやって魂を清らならせ、と宣り給うた。それで盛加神は、よよかげの久場の葉(実直なクバの薬の意)で鬼共を包み、天の立矛で天の御国へ突き上げ給うた。それ以来、島内には悪い者は居なくなったという。
 此の故を以て、古意角・姑依玉を斎き祀る漲水御嶽には今日に至るまでクバが生い茂り若し枯れるようなことがあると鬼共が降りて来ると言い伝えられている。盛加神は神徳高い神であらせられるので、島内守護の神として崇め、今尚東仲宗根の盛加御嶽に祀っている。


盛加ガーイビ
 社頭の掲示碑に市指定史跡「盛加がー(洞井)」として説明がある。
 水道の発達しないころ、人々の生活用水は天水と各所に散在するウリガー(洞井)であった。集落はウリガーを中心に形成・発達してきており、宮古の歴史はウリガーを切り離しては考えることができない。
 盛加ガー内には小規模ながら貝塚層もあり、周辺一帯からは多くの青磁片・土器片等が表面採取でき、大きな集落跡を物語っている。郷土史家の稲村賢敷氏は、14世紀後半勢力をふるった与那覇原一党の本拠地をここ盛加ガー一帯に求めているが、異説もあってさだかではない。盛加ガーは平良近郊では最も規模の大きいウリガーで、石段は103団設けられ、婦女子の踏みしめた後を残している。

 盛加御嶽は盛加ガーに隣接している御嶽であり、ガーと関係すると思われるが定かではない。

拝殿の中から神殿を望む。


 

たたずまい
 直経約25mの穴から103段の石段の底の洞穴の奧から水が湧き出している。宮古島の土地は石灰岩層であり、水はこの石灰岩層の下の泥岩層の上にある。
 宮古島は地下水が豊富なようで、地下にダムを造り、市民に供給していると言う。

盛加ガー


 

お祭り

盛加御嶽の主な祭祀 二月 ヤーキダミ、三月 フーヌヌシ、六月 ユークウ、十月 世ダミ、十二月 オレイブンが行われている。
 この御嶽は東川根の人々だけでなく広く多くの人々によって信仰されている。
 盛加ガーイビは盛加御嶽の祭事と一緒に行う。



『平良市史』『沖縄県の地名』
2007.12.25


神奈備にようこそ

inserted by FC2 system