Uga Net 夏至・太陽・日神

平22.6.27

(1)ストーンヘンジ ロンドン西200km 北緯51.2度上にある。
地球を通る太陽の道を「黄道」と言う。赤道上の日の出は夏至で北へ23.5度、冬至は−23.5度からとなる。
建設経過はほぼ3段階の時期に分かれている。
  紀元前2750年 ヒルストーン 夏至の日出、冬の月出
  紀元前2000年 四つの塚 冬至の日月入、夏の月入
  紀元前1900年〜 巨石群 夏至の日入、冬至の日出

ストーンヘンジの方位の意味


ストーンヘンジ 道は北へ


ストーンヘンジの日の出

(2)縄文時代の夏至.冬至を指す遺跡

   後期後半から晩期   栃木県小山市 寺野東遺跡
盛り土−石敷−筑波山 夏至の日没−冬至の日の出

   縄文後期      秋田県鹿角市 大湯環状列石
立石と菊花状周辺石汲み 夏至の日没 → 冬至の日の出


(3)弥生時代の例   北九州 平原弥生遺跡
出土 鏡 42面 漢中〜後漢前半 最大の鏡(直径46.5cm)が出土、神宮神体と同。
剣 2口
玉 ガラス 勾玉 3 管玉 30 小玉 600個
玉 琥珀  丸玉 1000個

『魏志倭人伝』その俗、正歳四時を知らず、ただし春耕秋収を記して、年紀となす。
正歳四時とは魏国の太陰暦のこと → 太陽の動きを山に刻んだ暦。農業用太陽暦。

平原遺跡付近の地図


平原遺跡の日の出


平原遺跡の日の出 山が示す暦


女王の埋葬と日の出




(4)浪速の方位 夏至冬至ライン
 免寸河の西に高樹。朝日で淡路島、夕日で高安山。(古事記:仁徳)
坐摩神社旧地(都下:とき) 新屋坐天照御魂神社
        高安山頂         福 井
等乃伎神社            上河原 西河原

坐摩−高安は冬至日出、等乃伎−高安は夏至の日の出   上河原−福井 夏至  福井−西河原 冬至


(5)中国製銅鏡の出土分布

桜井茶臼山古墳から「正始元年」鏡が出土。240年。
『魏志倭人伝』魏の大守弓遵らが倭国に来、倭王に金、帛、錦、刀、鏡などを下賜。

 これで邪馬台国論争は大和だったで終了か?

 桜井茶臼山から鏡が81面、うち三角縁神獣鏡は26面
 正始元年鏡 群馬県高崎市、兵庫県豊岡市、山口県周南市 からも。

1世紀の中国鏡(方格規矩鏡)の出土状況


方格規矩鏡


3世紀の中国鏡(三角縁神獣鏡)の出土状況


三角縁神獣鏡




(6)日光感精譚
井本英一著『神話と民俗のかたち』
 イランの地方の女性の中には、初夜が終わった翌朝、中東の乾燥地域の特徴で
ある平たい陸屋根の上で仰向けに横たわり、日の出の太陽に向かって局部を曝し、
太陽の精を受けて妊娠することを願う者がいる。


『古事記』の天日矛のお話
新羅の国の阿具沼の辺に一賤の女が昼寝をしており、そこに日、虹の如く輝いてその
女の陰上に指しし。そうして孕んで赤玉を生んだ


大隅八幡宮に関する伝承
震旦の陳大王の娘の大比留女は七歳、王が問いただすと夢で朝日の光が胸に
あたったため懐胎したと説明。王子と共にうつぼ舟に乗せて流した。大隅国に到着。



(7)海人の暦はどのような暦だったのか?

壱岐、対馬、隼人 暦(こよみ)は月読。


『日本書紀』巻十五顕宗天皇三年
春二月 月の神が人に憑いて、「わが祖高皇産霊は、天地を造った功がある。田地をわが月の
神に奉れ。」と云われた。壱岐県主が奉った山城国葛野郡 葛野坐月読神社の由緒。


夏四月 日の神が人に憑いて、「倭の磐余の田をわが祖高皇産霊に奉れ。」と云われた。
対馬県主が奉った大和国十市郡目原坐高御魂神社の由緒。
→ 高皇産霊は日と月神の祖であり、月神でもある。

隼人 山城国綴喜郡大住郷 月読神社 山幸彦は桂の木に降臨、桂は月の木。

『隋書倭伝』
   600年 推古八年 倭王、姓は阿毎、字は多利思比孤、阿輩雛彌
と号す。天を兄、日を弟、日が出れば弟に政務を任せる。
→ 倭王は月(の神)である。日迎えを行っているように見える。



(8)押し照る難波とは、なにが輝いてきるのか?


『万葉集』の「押し照る」一覧
0977 直越(ただこえ)のこの道にして押し照るや難波の海と名付けけらしも
1428 押し照る 難波を過ぎて 打ち靡く 草香の山を
2135 押し照る難波堀江の葦辺には雁寝たるらし霜の降らくに
2819 押し照る難波菅笠(すがかさ)置き古し後は誰着む笠ならなくに
3300 押し照る 難波の崎に 引き上る 赤(あけ)のそほ舟
3886 押し照るや 難波の小江(をえ)に 廬(いほ)作り 隠(なま)りて居る
など13首。


難波の枕詞ではない「おし照る」
1074 春日山おして照らせるこの月は妹が庭にも清(さや)けかるらし
1480 我が屋戸に月おし照れり霍公鳥心ある今宵来鳴き響もせ
2679 窓越しに月おし照りてあしひきのあらし吹く夜は君をしそ思(も)ふ

→ 全て「おし照っている」のは「月」である。
角川『古語辞典』では、「おしてる」は月などがくまなく照るとある。
岩波『古語辞典』では、「おしてる」は、大和から難波へ山を越えると大阪湾上一面に光が
照りつけているのが見えるところから難波にかかる。

以上

神奈備
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