天孫降臨の話

国譲り譚
 国譲り譚は古代ローマ、ゲルマン、インドの神話にもある。概ね次の構成。

1 天にいる祭祀と武力の神々と、地にいる生産労働の神々との間に争いが起こった
 当初は生産労働の神々が富と性的魅力などによって、天側の神々を懐柔した。

2 天の神々が地の神々を麻痺させる無敵の武器を投げることで挽回した。

3 両者は和解。天の神々の統治権を認めるかわりに地の神々も仲間の神とし、互いに協力世界を支配。
天の代表は高皇産霊神・天照大神、地は大国主神、性的魅力は下照比売、武力は経津主神・武甕槌神。

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天孫降臨 湖南省広西チワン族
ヤオ族の神話
雲南省
トールン族
モンゴル
ゲセル神話
古朝鮮  三国遺事
檀君神話
最高神 天神 天神 木崩格 デルクエン・サガン 天帝・桓因
最初の候補     子のチュルマス  
降臨する神 水仙姫
地上から来た若者
木美姫(天神娘)
彭根朋(地上の少年)
チュルマスの子ゲセル・ボグドゥ 桓因の子の桓雄
携帯した 神器など 穀物の種子
ゴマの種子
ヒエ・ソバ・トウモロコシ・燕麦の種子
各種の鳥獣など
稲籾は盗み出した
主宰神の知謀
祖父の黒い軍馬
英雄の準備金
祖父の黒い軍馬蹄縄
祖父の短い槍
一人の妻
天符印三個
神々 風師・雨師・雲師
神々 穀物・生命・疾病

部下3000人
降臨の目的 かけおち

天との行き来不可
天神の娘を娶る マルトの民の滅亡を防ぐ。 人間を治める
降臨先 地上 洪水の後の地上   太白山頂の神檀樹の傍

天孫降臨 古事記
天孫降臨神話
日本書紀 本文
天孫降臨神話
古語拾遺
天孫降臨神話
日向国風土記
知鋪の郷
最高神 天照大神・高木神 タカミムスヒ神 天照大神  タカミムスヒ神  
最初の候補 天忍穂耳命 天忍穂耳命    
降臨する神 番能邇邇藝命 ニニギノミコト 皇孫 ニニギノミコト
携帯した神器など 八尺勾玉 鏡 草薙剣

天児屋根命 布刀玉命
天宇受売命 伊斯許理度売命
玉祖命 思金命 手力男神
天石門別神  猿田彦大神
  八咫鏡 草薙剣 矛 玉
天児屋根 太玉命
天鈿女命
斎庭の穂
天忍日命 大来目命
猿田彦大神
天は暗く夜昼もわかれず、物の色も判然としなかった。
土蜘蛛が「稲を千穂にぬいて四方に投げ散らしになれば、明るなるでしょう。」と申しあげた。
そのようにすれば、明るくなり、天 は晴れ、月日は照り輝いた。
降臨の目的 統治 統治 統治  
降臨先 竺紫の日向の高千穂の久士布流多気 日向の襲の高千穂 の峯 → 笠狭崎 日向の高千穂の穂の 触の峯 日向の高千穂の二上の峰

三種の神器 壇君神話 高句麗 新羅 書紀第一 古語拾遺 古事記 継体天皇 持統天皇
  天符印
三個
鼓角 玉帯 八坂瓊曲玉 八咫鏡 八尺勾玉
    丈六尊像 八咫鏡 草薙剣
    九層の塔 草薙剣 草薙剣    
        中臣伝承 齋部伝承     養老神祇

天孫降臨神話の必要性

 高句麗好太王の碑によれば西暦400年、高句麗5万の兵士で倭国軍敗北。
 最高権力とは軍事と外交を司る。従来の倭政権これに失敗 → 政権交代、河内王朝の誕生。
 倭の五王。王権の血統意識・世襲観念の登場。唯一至高の高皇産霊神の導入と皇祖神化。 南arムスヒ
 倭王武の南宋への上表文 東は毛人を征すること五十五国、云々。 → 国譲りはなかった。 解xai日
 河内王朝は血統重視の王朝。この時期に国生み神話や天孫降臨神話などが創作されたか。

 べつの説(築紫申真氏 アマテラスの誕生)では、天武〜文武朝での仕業。「現に慶雲2年(705)に、
 八咫烏神社を大和宇陀に祭る。」とあり、この時期にこの神社を創建している。神話に合わせた。
 天孫降臨、神武東征譚はこの時期に造られ、その証拠物件の伊勢神宮も造られたとの意見もある。

 持統天皇の諱名は高天原広野姫天皇、高天原は名についた初めての天皇。高天原神話はこの頃か。
 とすれば、高天原は大和、皇孫は出雲を制圧して九州に天孫降臨、それから神武天皇が再度大和へ。
 聖書ではヤコブはカナンの地から旅をして、最後はカナンに戻る。ヤコブは水辺でラケルと合う。

  猿田彦神と天宇受女神の登場  宮廷祭祀は猿女君に!
猿田彦神 縄文の神、太陽神、岐神、男根の神  ←
日神を運ぶ神の祖 大湯環状列席 日時計  →
天宇受女神 弥生の女神、巫女神、ホトの神
国津神が天津神の女を娶った。



高天原とは

 地理 天の香久山があり、鉄がとれる。天の安河が流れている。
 大伽耶(高霊、谷那鉱山 川があり七日以上遠い。) 任那のこと。
562年滅亡。『魏志東夷伝弁辰条』国出鉄。韓濊倭皆従取之。
任那  継体は未練なし、欽明以降の政権は任那奪回を悲願とした。
韓国慶尚北道高霊郡の伽耶大学校内にある石碑 →



降臨ルート

『日本書紀』巻一第六段一書第一
 日神所生三女神令降於筑紫洲。因教之曰。汝三神宜降居道中、奉助天孫、而爲天孫所祭也。
 日神が生んだ三柱の女神を、築紫の国に降らせられた。そして教えて言われるのに、「お前達三柱の
神よ、海路の途中に降り居て、天孫を助けまつり、天孫のためにお祀りをされよ。」と。
一書第二 市杵嶋姫命、遠瀛者。田心姫命、中瀛者。湍津姫命、海濱者。
一書第三 市杵嶋姫命・湍津姫命・田霧姫命 今在海北道中。號曰道主貴。
ルート 半島 沖島 宗像 遠賀川 九州中部へ?

断絶 天孫降臨後、神は降臨していない。天に昇るのは、神が死んだ時のみ。天若彦、饒速日。

日向神話
1.落ち着き先   笠沙の御前 鑑真和上の上陸地、大陸からの渡来人の上陸地、稲作伝来の地?

2.婚姻   神阿多都比売   阿多隼人の姫、木花咲夜比売の愛称、姉は石長比売。
  石長比売を娶らなかったから、天皇の寿命は短い。死の起源説話。 → バナナと石。東南アジア

  一夜孕 天津神の子は一夜で孕まなければならない。神武、雄略にも例がある。

  火中出産 火険法 貞節を検査する方法 インドなど高文明国家に多い。

  竹刀で臍の緒を切る 沖縄、台湾、比国、インドネシアに分布。

3.日向三代  ニニギ、ホホデミ、ウガヤフキアエズには山陵がある。記紀作成の頃には神ではなかった。
ニニギ  可愛の山陵 薩摩国江乃郡 モイヤマ(森山)叢林
ホホデミ 高屋山上陵 大隅国肝属郡 モイドン(森殿)中心の神木
ウガヤ 吾平山上陵 大隅国姶羅郡 地域の先祖を祀る自然林だったか。
彼らを祀る神社があるならば、それは新しく祭られた神社。
断絶 陸と海との行き来は途絶えた。

参考文献
大林太良 『日本神話の起源』 『シンポジウミ日向神話』 吉田敦彦 『日本神話と印欧神話』
溝口睦子 『アマテラスの誕生』 黛弘道 『古代学入門』

神奈備にようこそ
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